お正月と言えば小松菜か?

元旦の朝には、おせち作りの中でも一番の難関である
「かまぼこの飾り切り」
が残っています。


なぜこれが難関かというと、かまぼこなどの練り物類は、全て自分のために作られていると考えている猫が、足元でひっきりなしに所有権を主張しているので、繊細な指先の動きが必要とされるこのとき、ものすごく気が散るのです。


仕方がないのでかまぼこの端っこを切ってあげるのですが、大騒ぎの喜びようなので、猫にとってのお年玉と言っても過言ではないでしょう。その後も人が箸でつまんだ蒲鉾を、口に入るまでじーっと目で追ったりして、食べにくいったらありゃしない。蒲鉾さえなければ、お正月なんか、猫が心ときめくものが全くない食卓なのですが。


実家のお雑煮は白味噌に八ツ頭を入れた京風に近いもので、お餅は焼かないでそのまま投入します。最近ではSさんが、東京のお雑煮を作るのですが、澄まし汁に小松菜、かまぼこ、そして焼いたお餅を入れるのです。同じ名前なのに、外観も味も、こうまで違うなんて日本って意外と広い。


ところで、小松菜ってどういう位置にある野菜なのか、いまいちわからない。考えてみれば、関東地方で主婦をしているのって、ここ数年のことで、それまでは小松菜の存在すら知らずに生きていました。青い菜っ葉が食べたくなったら、迷わずほうれん草でしょう。


どうやら、ほうれん草よりもアクが弱いので、調理の時にあく抜きをせずに使える、それなのにほうれん草っぽい食感で栄養価も高い野菜、それが小松菜なのです。いや違うのかな。だってそれなら、日本全国でほうれん草の代わりに小松菜が台頭してきて、あく抜きが面倒なほうれん草が駆逐されて、八百屋さんの店頭には小松菜しかないってことになるはずだもんね。


でも、大阪や京都では、小松菜のコーナーなんて見たことないし。インド料理の「サグ・パニール」っていう、あく抜きがやたらと面倒な、みじん切りにしたほうれん草が入っている緑のカレーなんて、とっくに小松菜になっててもおかしくないけど、まだほうれん草のままだし。フランスの家庭料理の「ほうれん草のキッシュ」だって、「小松菜のキッシュ」にはまだなってないし。