なかなか鴨までたどりつけない

その、鴨を見に行く続きです。


そんな話を思い出しつつ、溜池山王の駅に着きました。うわぁお。なんてキレイな駅。この駅と直結している「山王パークタワー」という高層の立派なオフィスビルに建て替えられたのですが、以前はいたって普通のビル。その前は、2.26事件で青年将校たちが立てこもった「山王ホテル」の跡地だったそうです。


しかし、平成の初頭では、会社の先輩が風邪をひいたときなど、
「ちょっと薬のディスカウントストアに行ってくる」
と言えば、このビルに入っているヤブ的な診療所で、山ほど処方薬をもらってくることでした。それがいまや、おいしそうなお店やカフェが入る、とってもオシャレな一角になっていました。


しかも、このビルの前には、半分朽ちかけた蔦だらけのコンクリートの建物があり、見るからに廃屋なのですが、何十年も放置されている感じなのです。そこは2.26事件の時に、将校達が鎮圧された場所だったという噂もありlました。首相官邸が近くにあるので、警察官がたくさんおり、人間に襲われる恐れはないのですが、高橋是清などの幽霊に襲われそうな気がして、残業のあとこの近くを通るのはとっても怖かったです。


それが今やこのあたりはすっかりキレイになってしまって、首相官邸もびっくりするほどモダンで威圧的なガラスの建物に変貌していました。たぶん普通に車で通っても、そこが昔の職場の付近だとは気付かないと思います。


キャピタル東急は、もとはヒルトンのプロパティで、1970年頃まで、来日したアーチスト達はほとんどこのホテルに泊まっていました。ビートルズが来日した時に泊まったのも、ここのスイートだったそうで、館内ではビートルズ来日40周年記念のミュージアムなどが登場していました。レッドツェッペリンが来日した時には、酔ったメンバーが部屋の窓からテレビを放り投げたり、日本刀で床や壁に切りかかったという逸話も。しかし今年の11月に閉鎖されて立て直されてしまうのだそうです。