NUDAはおいしかったです

どこかで信号故障か車両故障があった日、ギュウ詰めになった電車に乗るハメになりました。私が立ったのは、ドアのそばで、外の景色も見えなければ、中吊りも見られないというつまらない位置。かといって、そこで本を広げるようなスペースもなく、前にオモシロそうな週刊誌を読んでいる人が立ってもいません。横に立ったサラリーマン風な人が、無理やりマンガを読もうとしていたので、その隣の人がすかさず肘鉄を食らわせて、マンガ男撃沈。あーきゅうくつ。

外の景色が少しでも見える位置だと、よく空を飛ぶことを想像します。気持ちよく低空飛行をしている時に、突然背の高いビルが視界に現れたりすると、ひとり電車の中で「ビクッ」として周りの人を驚かせてしまったりします。寝る前に、うとうとしていて、落とし穴に落ちる夢を見たときのよう。このあいだ、デパートで桜の花の造花の下を歩いている時に、突然現れたのれんに「びくっ」として、その店の人までもびくっとさせてしまいました。こんなにびくついて生きているんだから、他の人よりも寿命は短いはずです。

そのときは、広告しか見えないので、そればっかり見ていました。ドア横の広告って、中吊りほど回転が良くないので、いつも同じ位置に同じ広告がある気がします。私が立つ位置にはいつもドコモ。ドコモダケファミリーを全員覚えました。この中で言えば、私の位置ってやっぱり「ハハドコモダケ」なのかしら。「ムスメドコモダケ」でも許される?と、弱気な事を考えます。

そのときあった広告は、キリンの「NUDA」というもの。青いキレイなボトルの写真がメインで、「糖分ゼロ」「食事にも合うおいしい発泡」と書いてありますが、その他の情報は何も書いていません。発泡酒なのか、炭酸飲料なのかも、よくわかりません。20分ずーっとその広告を見ておりましたが、その他にわかったことといえば、
「駅のKIOSKで発売中」
ということのみ。

そして駅に着くと、自然にその足で駅のコンビニに行って、そのNUDAを探しておりました。サブリミナル効果に違いない。だって、棚には他の飲料もたくさんおいてあったのに、棚の一番下の見えにくいところにあったその商品が、残り2本になってましたよ。私がそのうちの一本を買ったのですが、レジにならんていると、はっっ!私の前に並んでいるカレ、隣に並んでいたマンガ男。そしてその手には、NUDAのボトルが!おまえもか!