パウル・クレー展に行きました

スイスのパウル・クレー・センターは去年できたばかりで、竣工直後にベルンに行ったにもかかわらず、スケジュールの都合でどうしても美術館には行けませんでした。その代わり泊まったホテルには、原画とリトグラフがぜいたくに館内に飾られていて、朝食室までの廊下には、生前のパウル・クレーの写真パネルも展示してありました。お部屋のカーテンも、パウル・クレーらしい色使いのグラデーションのブルーで、なかなか良かったです。

私が好きなのは、初期の頃の、北海を描いた水彩画なのですが、その後は、ますます抽象画っぽくなって、柔らかな色彩のカンディンスキーといった作品が多くなりますなあ。
と、いうことを考えていたら、
カンディンスキーとは全然作風が違うじゃん、もう知らない!」
と、お友達を怒っている女性が目の前に!あーびっくりした。

若い女性の二人連れだったのですが、一人はやけにトガった美術ファンで、もう一人はおっとりしたお嬢様タイプ。このとがった方が、お嬢様を本気でバカにしていて、この二人の友情関係も長くは持たないだろうと思いました。そうそう、日本の美術館に来ると、こういうワケのわからない組み合わせで、ちぐはぐな会話をしている人に多く出合うように感じます。

お見合いの席で、
「じゃ、あとは若い人達で」
と言われて困った挙句、美術館に来てしまったのではないか、といつも思います。だいたいどちらかが、とても美術に詳しくて自説を開陳していて、もう片方はそれに相槌を打ちたいのですが、打たせてもらえないといった会話で。外国の美術館でも、会話の内容がわかってみれば、そういったちぐはぐカップルばかりなのかもしれませんが。

出口付近では、ベルンのパウル・クレー・センターができるまでのドキュメンタリーフィルムの上映をしていました。設計者のレンゾ・ピアノやマストロヤンニが出てくる、豪華なフィルムでした。字幕の英語がちっちゃくて、何を言っているのかイマイチ把握できなかったのがつらいところです。8割は想像でカバーしました。