自慢話です。聞いてください。

この間、日本の小説を読んでいたら、
「40過ぎると、思い出したくない過去ばかりが増えてゆく」
というような一文がありました。40過ぎずとも、そうですわ。

お風呂に入って髪を洗っているときなどに、ふと、高校の頃の赤面な出来事が思い浮かんできて、
「ひえ〜助けてー!」
と、風呂場で思わず叫んだりするもんな。

翌日に大切な用事があって、早く寝なくてはいけないのに、なかなか眠れずに横になっているときなども要注意。こういう時に思い出すのは、小学校の頃に忘れ物をした時にした、苦し紛れの言い訳など。

最近思い出したものは、給食でお箸を持ってくるように言われて忘れた日、先生に、
「うちではお箸を使わないんです!」
と言い張ったことか。別に帰国子女でもなく、ごくフツーの日本人家庭だったんですけど。嘘の内容よりも、そういう嘘をつく自分が恥ずかしくて、夜中にベッドの中で自己嫌悪に陥っては、もんもんとしてしまいます。

そこで、一番楽しかった日々を思い出してみることにしました。私の人生のピークは、小学校3年生だったので、もうピーク時の記憶も定かではないのですが。学級委員長という、今までの私の人生史上、一番高い地位にいたこともあるし。クラスで一番人気のあった男子から告白されて、シンデレラのような気分だったし。っていうか、小三の告白をいまだにしつこく覚えていること自体、その後の人生の、恋愛体験の地味さを物語っているな。

そういえば、小学校4年生の時に、読書感想文で、県の大会で佳作になったこともあります。これも私の人生史上一番、一番名誉な賞と言えるかも。感想文に選んだ本は「ベニスの商人」。小学生らしくない。

その時、ちょうど家には、子供用に書き直したシェイクスピアの本があり、「マクベス」や「リア王」などには、心奪われました。「ハムレット」のオフィーリアには心から同情し、本当はハムレットの感想文を書きたかったのですが、子供ながらにも、
「ちょっとこの話、土ワイ入ってるな」
と思い、あきらめました。しかし、今思えば、最後には主要な登場人物のほとんどが死んでしまう「ハムレット」で、どんな感想文が書けるというのでしょう。