図書館で敗北

私の住んでいる市でも、いつからか図書館のインターネット予約ができるようになっていました。

ちょっと前までは、検索コーナーの長い列に並んで、「931の1のナ」とかプリントアウトして、館内をうろうろ探し回ったものよ。それが今では、思い立った時にすぐ検索できて、その場で予約もできるので、「読みたかったけど、なかなか機会がなかった本」というのが、たくさん読めるようになりました。

検索する時には、
「この本が大人気で予約者が400人もいたら、一人一週間だとして400週間、読めるのは約8年後だな」
なんて心配になるのですが、私が読みたい本に予約している人はゼロ。それはそれで複雑な気分。まあ、在庫があるだけいいのですが。

ダヴィンチ・コード」が出始めの頃、予約者は10人くらいでしたが、数ヵ月後に見てみると500人くらいになっていました、そのうち半分は脱落するとしても、5年はかかるはず、それなら、毎日10ページずつでも、本屋さんで立ち読みした方がマシです。

予約して読むのもいいのですが、図書館に行って、ああでもないこうでもないと選んで、表紙に騙されて失敗したりするのも、タダなので楽しい。私がよく行く図書館には、美術全集の部屋があって、ガラス張りの部屋に、真ん中に大きな丸テーブル。本はみな禁帯出なので、そのテーブルにすわって画集をみるようになっています。

ここはいつも誰一人おらず、最初から最後まで、いつも私がテーブルの上に画集を広げてウットリしているだけ。落ち着くし、わくわくするので、この部屋に入るのが大好きなのですが、最近行ったら、私と同じ年恰好の女性が、画集を食い入るように見ていました。手にはきちんと手袋をはめて、画集が汚れないようにする気遣いも忘れていません。私が、ウットリ見ていたり、嫌いな画家の作品を飛ばして観ているのとは対照的に、彼女は、ものすごく真剣に隅から隅まで丁寧に見ています。完敗です。