生き残った忘れ物たち

梅雨の季節直前だっていうのに、お気に入りの傘を失くしてしまった。ちょうど夕立に降られたので、雑貨屋さんで525円で売られていたかわいい傘を買いました。525円とは思えない、センスの良いデザインとキレイな発色です。問題は、その後の一週間で、同じ傘の色違いバージョンを持っている人を7人は見たことか。

靴に関しては、安いものを履いていると、誰も気づいていないと思うのに、
「あ〜私今、とてつもなく安物の靴を履いているわ〜」
と、やけに足元が気になってしまう。しかし、靴はだいたい品質に見合った値段がついているので、まあ納得できるというもの。

サンダルなんて、あんなに使っている素材が少ないのに、冬の靴と同じ値段かいっ、って思いますが、高いものはやっぱり、履いた時のバランスや靴底の強度などがちゃんと計算されています。

しかし、傘はそうでもない。いかにも高そうな傘、ってあんまり見ないしな。それも使ってみれば撥水の具合や骨のしなりなど、いろいろ細かい点が気になってくるのかもしれないけど、5000円の傘と12000円の傘の違いって、それほどない気がする。たぶんブランドのライセンス料の差だけで。

でも、ビニ傘でさえ置き忘れたら、徹底的に追跡する私のようにせこい人間には、どうせ追っかけるならちゃんとした傘を追いかけて、達成感を味わいたいもの。

ロンドンで、眼鏡を路線バスの中に忘れて、バスの忘れ物センターにまで取りに行ったこともあるな。それまでは眼鏡がなくても特に困りはしなかったけど、忘れ物センターがまた、バスの車庫の外れにあって、そこにたどり着くまでの間に眼鏡が欲しかったわ。

フュッセンでストールを失くして、どこで失くしたのか全く自分でも見当がつかなかったのに、ダメもとで聞いたレストランで見つけてもらったこともある。そうなると、眼鏡にしろストールにしろ、そこまでの努力を無にしたくないので、不要になっても捨てられない。

もう使うあてはないんだけど、せめて、押し入れ界では、
「アイツ、外国帰りだせ」
なんつって、帰国子女として一目置かれていてほしい。