猫の注射旅行 続き

改札では特に何も言われなかったが、みかんが「にゃあ」と鳴くたびに、周囲の人達が、
「今、猫がいなかった?」
と、ささやき交わすのが申し訳ない。たまにうしろを振り向いた人が、バッグに入っているみかんと目が合っている様子。

それにしても、猫好きって多いですね。猫好きがそれだけいるってことは、猫嫌いも同様にいると思うのですが。一回のお出かけにつき、必ず2人は声かけてくるもんな。それも必ずおばちゃん。でも、話しかけてくる人は、だいたい自分の家では猫を飼っていないみたいなんですよね。わからない現象だわ。

話好きな人に捕まってしまうと、話の終わりが見えなくて、その場で猫談義が始まったりするし。こういう時こそ、猫がしゃべってくれたら!
「おばちゃんの話が長いので、みかんはもう疲れました・・・」
とかさー!

目指す駅に着く頃には、だいぶおとなしくなっていました。「にゃう」も、10秒に一度くらい。お医者さんは嫌いではないらしく、注射されたのにも気づかない有様。お腹にしこりがあるのが心配で、みかんをひっくり返して診てもらうと、それは「でべそ」なのだそうです。恥ずかしいヤツだなあ。

待合室に戻ると、遠近感が狂うような大きな白い犬がいました。みかんの50倍位、いや人間より大きいんじゃないか・・・とても賢そうで大人しい良い犬だったのですが、診察室のドアが開くと、突然後ずさりして情けない声で鳴き始めました。よっぽど病院が嫌なのね。うーん、ちっちゃいけどみかん偉い!

帰りは、なぜかおとなしくなって「にゃあ」とも鳴かなくなったので、バッグをのぞいてみると、何か満足げ。犬に勝ったとでも思ってるのかしら。オープンテラスのカフェでお茶をしている時も、今までのお出かけには見られなかったようなくつろいだ顔。こら寝るな。これからもちょくちょく連れて来られるかもしれない、と思いました。カフェで猫連れか。しまらないなあ。

これで大変な注射の一日は終了・・・かと思ったら、地元の駅で、
「ねえちょっと、ねこちゃん何歳なの?」
と、お話する気マンマンの見知らぬおばちゃんが。