理想のアイスは雪

子供の頃、たまに雪が降るとうれしくて、雪にカキ氷のシロップをかけて食べたりしませんでしたか。シロップがないときは、お砂糖をかけたりして。今、冷静に考えてみると、そんな冬の時期にシロップがあるのが怪しい。去年の夏に使いきれなかったので、賞味期限を無視して、今年の夏に使いまわししようという、母の思惑が感じられる。

街に降る雪なんて、パウダースノーではなく、ざらざらの湿気の多い雪で、そんなものおいしくもなんともないのですが、いまだに雪が降ると、
「うちにシロップはあったかな!」
と、とっさに思います。シロップがなくて砂糖だけだと、地味なんだよなー。練乳だけっていうのも盛り上がらないし。現代の雪なんて化学物質が山盛りっぽいので、食べる気にはなれませんけど。いえ、そもそも大人なので。

あのシロップって、私が知っているのは井村屋のプラスチック容器か、明治屋のガラスのボトルだけ。二大寡占状態だったと思います。明治屋のガラス瓶のものは、同じボトルでライムやレモンなどの、カクテル用シロップも販売されていました。新入社員の頃、会社帰りに青山紀伊国屋の、その明治屋のカクテルシリーズのビンの前で、ばったり大嫌いな課長と鉢合わせしたことがあります。

この課長が異動で仙台に行くときいて、同じくその課長が嫌いだった課のメンバーが誰からともなく、課のホワイトボードに、課長が仙台に行くまでの日数をこっそりカウントダウンし始めました。毎日その数字が減ってゆくのが、本当にうれしかったわー。ところが、「8」になった頃、異動そのものが社内事情で延期に。翌日ホワイトボードをみたら「365」と書いてありました・・・それも、課長ご本人が書かれたそうで・・・あっ気づいてたの・・・。

それはともかく、紀伊国屋でその課長が言うには、
「僕はギムレットには、ここのライムジュースと決めているんだよ」
なんつって、聞かれもしないのに、フィリップ・マーロウみたいな事を語っていました。