まだマカロンを探す

私の情報網によると、銀座和光チョコレートショップのマカロンも、なかなかおいしいらしい。

銀座は会社帰りに歩いて10分ほど。10分・・・ご飯を待つ猫にとっては、永遠のような時間だな・・・。会社を出たところで、みかんのお友達猫に目撃されて、
「もしもしみかんちゃん、いまみかんちゃんの母ちゃんは、会社を出ました」
なんて、猫テレパシーで密告されたら困るので、こっそり会社を出ました。気を使うわ〜。

銀座和光には特に悪い気持ちはないのですが、以前カウンター業務の応援に借り出された時、近くの大企業のOBがお客さんにおりました。このお客さん、白髪の上品な紳士なのですが、1週間に一度くらいカウンターに来て、スイス赴任時の思い出話や自慢話などを、えんえん一時間ほどしていかれます。同僚によくよく聞けば、いっ、一度も旅行を申し込んだことがないって・・・。本当の意味でサービス業だったわ。

それはともかく、その紳士が持っていたのが、和光のブリーフケース。それをカウンターの上に置き、中から思い出の品々を取り出して説明をしたりするのです。時間があるときはそれでも話に興味を持っているフリもできるのですが、
「あれをしなきゃ大変なことになるし、あれを忘れたら身の破滅だわ・・・」
と、緊急の仕事が山盛りになっているときは、そわそわしているのを悟られないように、うつむいてバッグを凝視していたものです、なので、和光と聞くと、どうしても当時の焦燥感がよみがえります。

しかし和光に向かうと、あら閉店しています。閉店6時って。日本で1,2を争う地価の高い場所で、なんて贅沢な商売をしているんでしょう。しかも確かここは、日曜日が定休日です。売り場の案内を見ていると、「チョコレートショップ」が銀座通りに面したところにあり、それはまだ開いているらしい。ちっ。さっき目の前を通ってきたとこよ。

このお店、奥がドリンクコーナーで、セレブなおじさんが二人座っていますが、他にお客さんはなし。入りにくいったらありゃしない。入るけど。マカロンは直径8センチくらいの大きなもので、一枚500円。三色ありましたが、大きすぎて買う気がおきない。買う気がおきないけれども、店員さんが私に期待しているのが伝わってくる。こういう場合、若かった私はついうっかり店員さんの気迫に負けて買ってしまったのですが、今ではナチュラルに回れ右をして退場できます。