ニックネームはほどほどに

すごい昔に「ザ・ベストテン」で、松田聖子がチューリップの新種の名前をつける、という場面を見たことがある。確かその日が何かの記念日だったか、おめでたいことがあった日で、久米宏黒柳徹子の話の流れでは、そのめでたいことにちなんだ名前をつけて欲しそうだったし、見ている私も、
「ここまでこの二人が言っているんだから、それにちなんだ名前を付けるだろう」
と思っていました。

しばらく考えたすえ、心を決めたように松田聖子が、
「ミス・セイコで」
と司会の二人の会話の流れを完全無視して言ったときには、子供心にも、
「これくらい自己顕示欲が強くなければ、芸能界ではやってけないのね」
と思いました。今でも松田聖子といえば、その場面を思い出します。

この文章からもわかるように、私はアイドルの名前をチャン付け、またはニックネームで呼ぶのが苦手で、常にフルネーム使用。いまだに木村拓哉を「キムタク」とは言えません。彼氏じゃあるまいし。

そういえば、社会人になって、同じ会社の人を対外的には呼び捨てにするのって、とっても違和感がありませんでしたか。私は、
「いいのかなあ、部長のこと呼び捨てにしちゃって・・・」
と思ってました。しかしその部長は、今で言えば本当のセクハラ男だったので、給湯室や女子トイレでは女子社員の誰もが部長のことを、何のためらいもなく呼び捨てにしておりました。

この間、ある会社にお届けものに行った時、目当ての偉い人の周りで他の偉い人同士が何人か集まって雑談していました。目当ての人は「北川さん」という方なのですが、
「よお、キタちゃん」
と呼ばれており、キタちゃんは呼んだオッサンに対して、
「おっ、カメちゃん」
と応えていました。

カメちゃん・・・いつも電話をくれる「亀谷さん」か。アラ、こんなに怖そうな方なのに、カメちゃんて。

まあそこまでは理解できたのですが、「イノッチ」「タッキー」を名乗るおじさんが続々と出てきて、お互いうれしそうに呼び合っていた時には、許せない気が。