19世紀に思いをはせる

最近、「切り裂きジャック」というドキュメンタリーを読んだ。作者は、「検死官シリーズ」で有名な、パトリシア・コーンウェル。私財を投じて、切り裂きジャックと目される人のDNAを調べたり、筆跡鑑定に出したり、科学的捜査を試みていて、面白かった。切り裂きジャックが暗躍したのは、19世紀末のロンドン。移動手段は馬車。電気もなくガス灯で、スモッグのため空気がひどく濁って薄暗かったという。

同時進行でトルストイも読んでいた。やはり移動手段は馬車。トイレは水洗どころか、個室でもなく、ただの桶。加えて貧富の差が激しく、貴族は農民を搾取するという社会構造で、貴族は腐敗し、農民はかつかつの生活を送っている。

そのせいか最近、現代の電化された便利な生活と、資本主義社会に新鮮な感謝の気持ちが。エレベーターなんて、ただボタンを押すだけでやってきて、しかもひとりでに扉が開くなんて!それも全部タダで!しかしヨーロッパでは、いまだに、四つ星のホテルでさえ、エレベーターのドアは手動だったりしますけど。

そういえば、池袋の三越でエレベーターに乗ったとき、
「ご利用階数をお申し付け下さい」
というエレベーターガールの声に、
「う〜ん、よしそうだな!俺は3階をもらおうか!」
と、元気に江戸っ子らしきおじさんが答えたことがあった。
「じゃ、私は5階をもらうわ!」
と続こうかと思ったが、勇気がなくてできませんでした。

液晶テレビや、自動ドアにも単純に賞賛の気持ちが。水洗トイレを見ても、しみじみ幸せを感じてしまった。お尻を洗う機械まであるなんて。また、街がなんて明るいんでしょう!青色発光ダイオードのイルミネーションがキレイ・・・ところで、青色発光ダイオードは「世紀の発明」と言われていますが、私のような一般人には、いまいちピンときません。EメールとかDVDとかの方が、なんか心に来るものがあるんですけど。