まだ読み終わってないんですけど。

飛行機でヒマな時間が10時間以上あると思うと、うんざりするけど、ちょっと楽しみ。日ごろ時間がなくて出来なかったことをやってみたくなる。特に本を読むのが楽しみだ。いつも電車の中で、
「キーッ、だれが犯人なのよー!」
という所で止めなければならなかった時など、仕事中にトイレで続きを読んでしまおうかと思うくらい。

夜寝る前に、
「もしや彼が黒幕なのでは!?」
といった意外な展開になってしまった時など、翌日の健康を取るか、自分の欲望にまかせて読みふけるか、辛い決断。大学の頃、江戸川乱歩の「孤島の鬼」という文庫本を何気なく読み始めたら、止まらなくなってしまい、翌日には、「バレンタインデー前日の、お菓子屋さんの売り子のバイト」という過酷な肉体労働が待っているにもかかわらず、朝の5時まで読みふけった事を思い出す。翌日、寝不足で鼻血が出たら、
「チョコの食いすぎだろう」
とか、あらぬ疑いをかけられたしさ。

今回、図書館で分厚さのみを優先して何冊か借りた。そのうちの一冊を会社の行き帰りに読み始めたら、まあまあ面白いのだが、難を言えば南米のペルーから始まり、現在は香港が舞台で、これから主人公は上海に行く予定なことか。旅行中に、同じように旅行中の主人公の本を読むと、今自分がどこにいるのかわからなくなるからな〜。

海外で読む日本人の小説なら、夏目漱石が良かった。ただ、全部筋書きを知っているだけに
「面白くて面白くて、つい時間が経つのを忘れた」
っていうわけにはいかないのが欠点。

上下巻に分かれている本も、持って行き辛い。ディーン・クーンツという、モダンホラーの旗手と言われた方の作品に、「ストレンジャーズ」という上下巻の文庫本があった。これ、上巻はハラハラしながらどんどん読めたのに、下巻になった途端、筋書きがえらいもたつきようで。終盤は正直惰性で読んでいました。こんな上下巻のものは持って行きたくないなー。帰りの飛行機の中がやけに長そう。読み終わったあと、
「こんなことなら下巻は途中で紛失してしまえばよかった」
と思うくらい、馬鹿馬鹿しいお話でしたわ。

そう言えば、スティーブン・キングの「アトランティスのこころ」も、上巻が圧倒的に面白くてスピード感があったが、下巻はそうでもない。クーンツに較べると、それでも読後感が良かったのが救い。