捕獲されたあとはおとなしい

2ヶ月に一度くらい、猫がプチ脱走する。玄関の扉を開けると、どうしたわけかピューっと走ってきて、そのまま外へ。外へ出たら必ず左へ曲がって隣の家の玄関前アルコーブで失速。そしてうろうろしているところを捕獲されて家へ連れ戻されるのがパターン。

「そんなに外に出たいんだったら、外で生活してみなさいっ!」と叱るのも忘れない。風呂敷にキャットフードを詰めて首に巻き、そのまま旅に出してみたい。きっと10メートルもいかないうちに、キャットフードを食べ始めてしまうと思うけど。

一年ほど前、近くに買い物に出かけようと思って、猫部屋を網戸だけにして出かけた。出かける時に、エレベーターが来るまでの短い時間、網戸の外から猫パンチなどで遊んでいたのがいけなかったらしい。5分ほどして帰ってみると、網戸が10センチほど開いていて、猫部屋はもぬけのから。

うちは8階にあるので、もう心臓が冷たくなっていたけれど、勇気を出して下をのぞいたら、落ちている猫はいない。

そこへ巡回中の管理人さん登場。もう私は半狂乱で、言っていることがワケわからないようだったが、猫がいなくなったことはどうにか伝えられたらしい。しかし、イマイチ伝わりが良くなかったようで、「ミケ〜、ミケミケ〜」と呼んでいた。みかんですけど?

このマンションは、各戸ごとに玄関の作りが微妙に違い、門扉のある家や、玄関前がだだっぴろい家など、もう猫が隠れるには最高の場所が揃っている。上の階からしらみつぶしで探し始めると、しばらくして、この世のものとは思えない、「にゃご〜ん」という野太い声が。

すると管理人さんが、「いたよ!いましたよ〜ミケがー!」と言うので、声の聞こえた7階まで降りていくと、見覚えのある茶色い猫がよそ様の玄関前にへばりついて妙な声で鳴いている。わ〜ん、みかんだよー!もう二度と会えないかも、と思っていたので、腰の力が抜ける。あの、管理人さん、何度もいいますけど、みかんです。どう見ても三毛じゃないし。

早く連れて帰って、じっくり今後のことを猫と話し合いたいと思い、バスケットに押し込めると、管理人さんが「良かったなーミケ」と声をかけてくれた。本当に、お世話になりありがとうございました。くどいようですけど、みかんです。

それから知ったのだが、猫が自分で探検する時は下へ行き、逃げる時は上に行く傾向があるんだそうです。うーん、まさしく。