新大久保の健康診断の話でまだ引っぱる

検査には待ち時間も多い。しかしその間、読み物などもなく、見るともなしに回りの人を観察していると、みなこの検査着を着ているので、全員サイコーにイケてない。化粧をバッチリ決めた女性は、かえって哀れさが漂うし、化粧をしていなければ病人風。男性はみな、仮出所を待つ囚人のよう。ここで恋が芽生える確率は1%もないと思うけど、芽生えたとしたら、それは本物。

もしここで殺人が起こり、自分が唯一の目撃者だとしても、
「犯人はどんな顔でしたか」
という刑事さんの問いに、
「確か・・・冴えないオッサンでした」
としか答えられないと思う。そして刑事さんが、
「それじゃ、全員じゃねえかよーっ」
と頭を抱えて、事件は迷宮入り。

まあ、いいこともあるかもしれない。私が目撃したことを殺人犯が気づいて、
「見られたのは・・・確か・・・くたびれた女だったような・・・」
と思っても、
「全員じゃねーかよーっ」
と頭を抱えてうやむやに。くたびれた女だと!?さえないオッサンのくせして!何か勝手にその場面を想像して、頭に血が上ってしまった。

もともと、私はあまり人の顔を見ていないと思う。よく2時間ドラマなどで、ちょっとすれ違っただけの人を覚えている目撃者がいるが、もしその目撃者が私だったら、またまた事件は迷宮入り。自分がそんな決定的目撃者になったとしたら、被害者にも警察にも申し訳ない。

そんなことより、この有り余る時間で、頭の中8割を占めているのが、昼に何を食べようか、ということ。シュラスコはもちろん、讃岐うどんも思い浮かぶ。讃岐うどんは喉で食べるか・・・ゲホゲホッ。いけない、食べたつもりの幻覚が。その他、鶏の唐揚、坦々麺、みそカツなど、味の濃いものが次々私の脳裏を通り過ぎて行った。視力検査で、映ったCの記号に「もも!」とか「タコヤキ!」とか答えたりして。って、それは嘘だけど。

ようやく全検査が終了したのが、11時半。お昼はお友達と食事をすることになっていたので、何が何でも12時までには会社に行かねば。しかし、新大久保、どうしてこうもおいしそうなお店が多いのでしょう。昼の約束などどうでもよい。ここで2、3軒はしごしていこうかと思った。