いただきまスイカ

同行者Sさんは、江戸っ子。そのためかどうか、語尾に粋でいなせな単語をつけたがる。例えば、重いものを持つときは、
「よっこら正月」
だし、なにか期待はずれなことがあったときには
「がっかり正月だねえ」
と言う。正月ばっかだな。景気がいいねえ。

たまに気分が乗ったときなどは、自分でアレンジして「よっこらしょっトンカツ!」なんて言って満足げなのだが、私も真似をして「どっこらしょうねんたい」なんて言おうものなら、それはそれは冷たい目をして、
「つまらない」
と言うのは、納得がいかない。トンカツの方がよっぽどヒネリがないじゃないか。私がお義理でウケてやったのも気づかないとは。トンカツと少年隊で喧嘩するのもいやだが、許せん。

また、「そうだね」と普通に相槌を打てばいいものを、気分が乗ったときには、
「そうだねんきん」
と言うのを聞くのも、面倒くさい。年金は、ぜひもらいたいそうです。

私が、たまにアレンジして、
「そうだなんきん」
と言ってみると、
「南京に転勤になったらどうする」
と真顔で抗議されるが、ヤツの会社に南京支社はないじゃないか。もうこうなると、江戸っ子とは何の関係もなく、小学生の会話のよう。「南仏」とでも言っておけばよかった。