皮膚科の話 本編

看護師さんは二人。かわいい茶髪の明るい女の子と、赤羽のスナックにいそうな厚化粧のおばさま。この女の子にとって、この職場はちょっと過酷なのでは?看護師仲間の飲み会で、「うちの病院、BGMが昭和で、先輩も昭和なのよ」なんつって愚痴っていそう。

おばさま看護師は、私の会社にいるのと同じ、自己中心的なタイプに見える。と言うわけで、おばさま看護師を心の中で、「トシコ」と呼ぶ。会社のおばさまの名が、トシコと言うので。もちろん彼女の前では、ちゃんと苗字で呼んでるけど。でも、忙しくて混乱した時などは、「トシコ、電話取ってっ」と、うっかり言いそうになるねえ。

ちょっと膝の後ろがカサついていると訴えると、女の子看護師が薬をていねいに塗ってくれた。その後、その女の子に採血してもらって、その日は終了。

今月行ってみたら、女の子の看護師さんが、他の患者さんの対応をしていたので、トシコが単独でつくことに。膝の裏に薬を塗る時、いい加減に塗ったうえ、「どうせ、これからお風呂に入るでしょ」とのセリフ。やっぱりトシコ的だわ〜。その上、採血は待たされた挙句、診察の合間の女の子看護師が忙しそうにやってきて、処置してくれた。その間、トシコは何もせず。採血ができないか、下っ端の仕事と思っているか。

ちなみにその日にかかっていた曲は、岩崎宏美の「シンデレラ・ハネムーン」、あべ静江の「みずいろの恋」、そして「君はロックンロール・ファイヤー!踊りに行こう僕と〜」で始まる曲。バンドっぽくみせているが、曲の作りも甘いボーカルも歌謡曲仕立ての、初期のレイジーみたいなヤツ。誰だっけ、これ?家に帰って検索までしてみたけど、出てこない。よっぽどあの時、医師かトシコに、誰の曲だったか聞いとけばよかった。

ちなみにレイジーには、今では日本を代表するバンド、ラウドネスのギタリスト、高崎晃と、ドラマーの樋口宗孝がいた、TOKIO、いや男闘呼組に似た、楽器を演奏するアイドルグループ。高崎晃なんて、「スージー」とか呼ばれてたし。彼らもさすがに、この過去は忘れたいとみえてインタビューでもほとんど語られない。中学生だった姉がレイジーのファンで、小学校の頃、日本橋高島屋の屋上まで見に行ったもの。おかげでいまだに、全員の顔とニックネームが一致するし、「赤頭巾ちゃんご用心」なんてソラで歌えるわ。

あの皮膚科に来月も行くかどうか迷うところ。