集団で動く時は気をつけねば 本題

話はおばさん集団に戻るが、この間、スイスのラウターブルンネンという駅で、大きな観光バスから降りた日本人観光客の集団を見た。最近、東洋人といえども日本人とは限らず、中国人や韓国人のツアー客も多い。

中国人は、とにかく声が大きい。韓国人と日本人の若者の差はなくなりつつあるが、中年以降の人は服や小物のセンスがちと違う。その時も、その日本人団体客を見ながら、「やっぱり日本人って、何のかんの言っても欧米のマナーにも慣れて、洗練された物腰ね」と思っていたら。

その駅には小さな売店があり、私が水を買おうと思って、ペットボトルの並んだ棚の前に立ったら、ん?何かが背中に当たっている。何だろう、すごく痛い、と思ったら、ギャー!おばちゃん軍団が後ろからすごい勢いで押してるー!その駅から、バスを降りて登山電車に乗る行程になっていたらしく、出発時間までの間、駅の売店に入って買い物がしたかったみたい。

売店のレジは一個。それに長蛇の列なのはいいとしよう。でも、なぜ長蛇の列になるかというと、誰一人ちゃんと正しいお金を渡してないからなのよー!その日がツアー何日目か知らないが、絶対に初日じゃないことは確か。バスの中で、添乗員さんなり現地ガイドさんなりが、硬貨の種類や日本円換算の目安、チップの額なんかを、丁寧にレクチャーしているはず。

いやそもそも、例えば値札に「2.1」と書いてあったら、まずは慣れるまで2フラン以上の、大きめの額のコインを渡せばいいんじゃないのかい。何年文明人をやってるのよ。手のひらに小銭を並べて、黙って店員さんの目の前に差し出すとは、「初めてのおつかい」か。

私の前に並んだおばさんは、なぜか私に対して、「これ?これでいいの?」と、2フランのものに対して、5フラン硬貨2枚、1フラン硬貨一枚をみせてきた。そのあまりに押し付けがましい態度には、「私ったらこのグループを引率してたんだわ!」と、勘違いするくらい。「5フラン硬貨でよくってよ」と答えてあげたのに、やはり店員さんに手のひらの小銭を見せるやり方を採用しやがった。コラーッ!

もし私か、店員さんがミスターマリックだったら、その5フラン硬貨は2枚とも消えていたと思いなさい!