重いんだよ、これが。

旅行に行っている間、空港のペットホテルに猫を預けることになる。空港の駅までお兄さんが迎えにきてくれるので、そのお兄さんにケージごとお渡しする。あのケージがだんだん遠ざかって行くのを見るのは、つらいものよ。

先週、猫部屋にクーラーをつけた時も、かわいそうだった。もともと臆病で人見知りをするのだが、ピンポーンという玄関ベルの音を聞いただけで、「グルルルルル」と威嚇するような声を発するくせに、腰は完全にひけていて、部屋の隅まで後退。その後、業者の人が自分の部屋にいるのが気になるらしく、遠くから顔を半分だけ出して様子を伺ってみたり。その時もビビっている証拠に、普段は手足が長い猫なのに、身を低くして小さな猫を装っていた。そして、カタンという小さな音にも2メートルくらい飛び上がったり。情けない。

これで預けるのは3度目だが、いつも電車の中でウニャウニャ鳴いて人の同情を誘おうとする。そのくせ、見知らぬ人に「あら、猫ちゃんですね〜」と呼びかけられると、「なによ、このひと」というまんまるい驚いた目で、相手の顔をまじまじ見る。失礼なんですけど。

去年までは、「ドライフードはいくらでも上げてください。でも、レトルトは半袋だけ。」とホテルの人に伝えていたが、そろそろ猫もそれは少ないと気づいた様子。家猫であるみかんが、よその猫と情報交換をする唯一の場所が、そのペットホテル。「隣のトラは一日一缶もらってたよ」と余計な情報を得ている気がしてならない。

また、今まで一度もあげたことがないのに、えらく食いつきが良かった嗜好品に「のり」がある。これもホテルで、「のりはああ見えてうまいんだぜ!」なんて、寿司屋の猫に教えられてたりして。「水菜」「コーン」も怪しい。

今年は、せめてもの罪滅ぼしに「かつぶし」を持たせてあげる予定。外人の猫に教えてあげなさい。それも、小さな削り節だと鼻息で飛ばしてしまうので、2番だしに使うような「花がつお」ってちょっと大きめの高いヤツ。猫が遠くにいるのを確認してから袋を開けたつもりなのに、一秒後には足元に来ている、あこがれのスナック。もし猫界に映画館があったら、映画のお供にはロビーでこの花がつおが売られているはず。昔、通りすがりの野良猫にこの花がつおをあげたら、あげているのは私なのに、私に横取りされてたまるかというそぶりをされたことがある。