フォリナーからのイングリッシュの電話

仕事で英語が必要な時、できれば一番関わりあいたくないのが電話での会話。さらに航空料金などの、日本円にして6桁の数字を伝える時、日本語でも緊張するところなのに、英語なんて本当に伝わっているのか心もとないので苦手だ。「安いね〜」なんて反応があると、「ヤバい。きっと私は5桁で伝えてしまったに違いない」と恐ろしくなって、「どうかこの電話で予約成立しませんように」とお祈りしてみたりする。

以前いた会社では、外国人から英語で電話がかかってくるなど殆どなかった。かかってきても間違いだったり、「○○さんオネガイシマ〜ス」という、日本語でのご指名電話とか。しかし、ごくまれに海外で予約したホテルから確認の電話が入ったりする。

そんな時の必殺技として、電話に出て相手が英語だとわかった瞬間、
「あれ〜おっかしいな〜。もしもーし!もしもーし!」
とひとしきり困った様子で、受話器に向かって怒鳴る演技をしてから、
「電話、混線してるらしいぞ。」
とつぶやいて受話器を置く方法があった。

この場合、大切なのは受話器を置いてから素早くその場を立ち去ることで、もしそのままぐずぐず電話のそばにいたりすると、さっきのガイジンがリダイヤルで掛け直さないとも限らない。
という技を、酔った拍子に上司が皆に伝授していたが、その時その場にいた誰もが、
「もう二度とこの会社でこの技は使えまい」
と思っていたはず。

ところが、ここでそんな技を伝授したことなどスッカリ忘れたのか、上司が2,3ヵ月後に
「あれ〜おっかしいな〜。もしもーし!もしもーし!」
と電話口で怒鳴っていたのが忘れられない。そして、受話器を置いたあとにそそくさと席を立って一服しに行ったりして。同僚と興味深く見守っていると、案の定、外人からの電話を同じ島の部下が取っていたが、彼女は帰国子女なのでペラペラ普通に対処し、用件は解決。上司はと言うと、「イヤ〜、仕事に行き詰った時は一服するに限るね〜」と言いながら数分後に戻ってきた。

そろそろその会社を辞める潮時かもしれないと思いました。