夜鳴き餃子・夜鳴きわらびもち

日曜日、ディナーも終わり、食後のスピリッツなどをたしなんでいる午後9時頃、外に物売りの声が。結構涼しかったので窓を開けていたら、聞き覚えのあるメロディに乗って移動販売車が近づいてきた。メロディと節回しは「たーけやー、え、さおだけー」なんだけど、乗っかってきた言葉は「ぎょうざー、え、ぎょうざー」。ぎょ、餃子?

この、日本中の人たちが最も満腹感を覚えているであろう、日曜の午後9時に、何を狙って餃子を売りにくるのか。「どんどん焼いてますよ〜」との景気良い言葉も聞こえるのだが、売れないと思うよ、と思って下を覗いてみると、販売ワゴンの前に行列が。行列といっても4人くらいなのだが、このあたりの人口が200世帯として、夕食が終わったこの時間に4人並ぶって結構な確率だな。あーホントにじゃんじゃん焼いているよ。まるで家の今晩のおかずが餃子だったみたいに、部屋中餃子の匂いが充満。

小さい頃から、焼きとうもろこし屋さんや、焼き芋屋さんは、夏にはどうしているのだろうと思っていた。考えてみれば餃子って季節を選ばないな。強いて言えば、夕食前の時間に来てくれると有難い。

大阪に住んでいた頃は、夏に「わらびもち屋さん」が移動販売しにきていた。いつも声だけ聞こえるが、実物を見た事がなく、いつかつかまえてやろうとスタンバイしていた。ある日、会社帰りにそんなわらびもち屋さんが、「わらび〜もち〜」と言いながら、ワゴンで近づいてくるのを発見。と、思ったら時速60キロくらいですれ違っていった。ドップラー効果も生々しい。あれを呼び止められるのは、オリンピック選手だけだよ。もしかして、あれは本当はわらびもちを売っているんじゃなく、「夏の風物詩として、時々商店街を流してくださいよ」とか、商店会に頼まれていたんじゃあるまいな。