I'm your turbo lover, better run for cover

もうかれこれ20年近く前になるが、JUDAS PRIESTというバンドが、シングル「TURBO LOVER」をリリースし、その年の全米TOP10にまで入る勢いだった。また、その頃ちょうどMTVが台頭し始めた頃で、「TURBO LOVER」のプロモーションビデオは、革ジャンを着てオートバイに乗ったアニメーションのライダー野郎どもが、路上でチェイスするという、当時流行った手法をまるごと使っていた。今思えば、ちとダサい。

デビューしたてのボン・ジョヴィには、「SHE DON’T KNOW ME」という、文法無視な曲があった。そのプロモビデオ、記憶を頼りに思い出してみると、赤いスポーツカーに乗った革ジャン・ミニスカの金髪美女が、ジョンのお目に留まる、というような低予算で低意欲でヒネリのない内容。その後、どんなにボン・ジョヴィがカッコ良い曲をだそうが、俳優として活躍しようが、革ジャン・ミニスカの金髪美女しか思い浮かばず、「だっさいプロモ作ってたくせに!」とか、理不尽な気持ちが先に立つ。

それはともかく、その「TURBO LOVER」という曲、JUDAS PRIESTの中でも特に好きなわけではないのだが、私の中で自転車に乗った時のテーマソングとして活躍中。家から駅まで自転車で普通に乗って10分、猛ダッシュで乗って5分という場所に住んでいた時には、猛ダッシュ中この曲が鳴っていた。ヒールの靴にタイトなスカートを履いていたのにもかかわらず、立ちこぎ。朝はそれでもセーブ気味ではあったが、夜などカーブでは車体を傾けたりしてすっかりライダー気取り。タラタラとママチャリで走るオッサンをあおってみたり。

そういえば、カーブでうまく減速できずにスピンしたことも何度かあった。母親に「大人なんだから、落ち着いて乗りなさいっ!」と注意されても、自転車に乗ったとたん「TURBO LOVER」がかかるのだから仕方がない。この燃えるライダー魂はわかってもらえないだろうなあ。その自転車は弟から何気ない形で奪ったものなのだが、転ぶたびに車体が歪んでゆき、まさしくハードな飛ばし屋にふさわしい外観となっていた。私が実家を離れる時に、「世話になったな」と自転車を弟に返そうとしたら、「頼むから持っていってくれ」と、受け取り拒否。アラ、こんなに男前な自転車持っている人、他にいないわよ。

その後、弟が中型バイクを購入した時、「いいねえ、中型」と言っただけなのに目から殺人光線が。