いつまでも転び続ける女の話は続く

駅で転んだ時、駅員室で最初に「救急車呼びましょうか?」と言われたが、そんな人の記憶に残るような大技は、後々のために取っておきたいため辞退。
しかし、駅員さんの事情聴取では、「人から突き飛ばされたんですか」「何か備品につまづいたんですか」など、痛いところをつかれた。いいえ、自損事故よ、何か?何かのせいにしてくれようとする、駅員さんの口ぶりがつらい。

しかし、別に悩みもないし、考え事をしていたわけでもないんだよなあ。強いて言えば、「お昼にタイ料理が食べたい腹具合だな」と考えながら歩いていたか。たぶん、私と同じような転倒をした、普通の女性なら今頃は片足骨折しているに違いないが、私だからこそ、これだけの軽症で済んだというもの。そこを駅員さんはわかってないねえ。

怪我はともかくショックのため、一度家に帰って落ち着くように帰宅するよう駅員さんに提案される。「会社には、私どもから電話しておきますから」というさらなる提案。その提案に乗っかってみたいところだが、会社の電話を誰が取るかが問題だな。ヒマ人のおじさんが取ると、「○○さんが、駅で転倒して意識不明のため電話ができず!」とか、勝手に想像して大事件にしてしまいそうだし。しかし、自分で電話してみると、「気をつけてね〜」という同僚の声が薄笑い。

その後、外科に行ってみると、「縫いますか?」という質問。いや、勘弁してください。それに良く見ると前歯が欠けている。何か時間が経てば経つほど、被害が拡大していくよう。こんな不運でさえお金に換えようと、通勤途中の労災について病院の待合室で調べてみたが、そんなチンケな怪我ごときでは出そうにない感じ。

誰も私のこの冒険を心配してくれそうにないので、両親に電話して報告してみるとなぜか今すぐ来てくれるという。しかし、その日に限って、どうしても休めない日。休めたなら3人でどっかに食事に行って、ご馳走になって買い物したりするところなのだが。もはや、私も何のために自分が遅刻するか見失っている。両親にしても、もうええ年をした自分の娘が転んだ位でわざわざ車を走らせてくる事に、どこかの時点で「何のために?」と疑問を感じなければ良いのだが。

昼すぎに会社に出社すると、案の定、みなの笑いものになっていた。く、くやし〜。もしも、あなた達が転んでいたら、こんな軽傷で済まないところなのよ!