駅における人間の観察

今、私が利用している駅は、中学まで通っていた駅でもあるので、たまに昔の同級生らしき人をみかけたりする。同行者Sなどは、デパートのワイン売り場で高校の先生を見かけたそうだ。それもお客さんとしてではなく、店員さんとして。高校教師からデパートの店員とは、意味不明な転身。その後の教師生活に何が起こったのかを知るのが怖くて、声をかけられなかったという。

昨日、駅の改札を出たところで、遠くの方から明らかに私めがけて満面の笑みで近づいてくる女性がいた。この駅はガラの悪い駅で、改札口では黒服のお兄ちゃんたちが、風俗のスカウトのため改札口を凝視している。誰も私をターゲットとはしていない模様。しかし彼らの、黒服・金髪・日焼けのファッションは一体誰をお手本にしているのだろう。芸能人を一通り思い浮かべても当てはまる人がいない。もしかしたら「風俗界のカリスマスカウト」のファッションなのかな。どうでもいいや。

その隣には、まだいるよ、ヤフーの勧誘隊。もうかれこれ一年は経つよ。先日ここで一人の勧誘員が、「今日は、なんと3人も接客させてくれました!」と、本部らしきところに、携帯で報告するのを聞いてしまった。一日に3件で、契約成立というわけでもなく、ただ接客できたことがそんなに喜びになるとは。私も見習わなきゃだめだろうか。

それはともかく、その向こうから近づいてきた女性を見て、中学の時の同級生の顔が思い浮かぶような気がするのだが、名前が出てこない。でもこうして微笑みながら近づいてくるからには、向こうも私を認めたはず。こういう場合、名前を覚えていないのは失礼に当たるかどうか、と思っていると、彼女は手を差し出しながら、「すみません、手相の勉強をしているのですが」と言うではないか。ちっ。どうしてあの人達はみな、いつかどこかで見かけたような、見かけなかったような、ニュートラルな顔をしているのだろう。

友達が言うには、あれは手相の勉強という隠れ蓑で、本当は宗教の勧誘なのだとか。その同僚は、休日に街を歩いていたら、隣の課の課長が他の人の手相を見ているところに遭遇してしまったそうだ。そして、その課長の顔もやはりニュートラルタイプ。なんなの、その共通点。