あいさつにおける本能

あいさつは社会生活の基本。もう大人になって随分経つと、「挨拶をしよう!」と特に意識しなくても、自然と挨拶できているもの。だと思いたいところだが、こちらが「おはよう」と言っても絶対に返してこない人がいる。あれって、どういうつもりなんだろう。「アタシはアンタなんかに挨拶される程落ちぶれちゃいないわよっ」って思っているのか、朝の挨拶をすると親の死に目に会えないと思っているのか、もしくは朝は耳が一時的に聞こえなくなっているか、さあどれだ?どれであろうが構わん。「キーッ、育ちが悪いんだからっ!」と思わせていただくわ。

私の体験からいえば、一社に必ず2人はそういう人がいる。仕事上でどんなによい人であろうとも、「挨拶しない人」としてしか覚えていない。同僚も「ああ、あの挨拶しない人ね」とか言っている。何度か挨拶しても返ってこないと、もう諦めてこちらからも挨拶しなくなるものだが、たまに間違えて声を掛けてしまった時など、宙に浮かんだその言葉をダッシュで引っつかんで取り戻したい気分。

また、自分より目上の人間にだけ挨拶するという風見鶏な男性もいた。却って面倒だと思うのだが、目上か目下かを一瞬でどう見分けているのか謎。嗅覚か聴覚が異常に発達しているのだろう。そんな彼の本能も時には乱れを見せるようで、半年に1回位、「おはよう」と言われることがある。内心、この男、「しまった!俺の『おはよう』を返してくれ!!」とか思っているんだろうな。

他に、自分より後に入社してきた人には、必ずタメ口で話しかけるという女性もいた。この女性、自分が一日でも早いと知るとどんな年上にもタメ口をたたいていたので、彼女が人を判断する絶対基準は「入社日」なのだな、と思い、ある意味その動物的センスに一目おいていた。しかし、ある日親会社から出向してきた2,3歳年下の人に何と敬語で話しかけているではないか。何なの〜、何の本能がそうさせるの?