虚礼廃止

「いつもお世話になっております」という慣用句がある。会社に入ると新人研修などで、何の疑問も抱かせる余地もなく教え込まれるので使っているが、「この人には絶対にお世話になってないな」という人にまで使わなくてはならない時もある。「英会話の○○ですが。」と電話がかかってきたとしても、会社の他の人の目もある以上とりあえず「お世話になっております」といわなければならない。そういう時、心の中では絶対に勧誘の電話だと思っていたとしても、「(今この電話にでたお陰で、他のややこしい電話に出ずに済みました。ところで受講料が安いってことは外人講師を安く使っているんじゃないですか?そういう意味を含めて)いつもお世話になっております。」と思った。また、「○○製菓です」という明らかな間違い電話の時には、「(お宅のバナナチョコのシリーズはうまいねえ。昨日なんか一箱全部食べちゃったよ。これからもどんどんああいう商品を開発して欲しいねえ、ま、そんなこんなで)いつもお世話になっております。」と心を込めて言った。

しかし、こちらではそんな努力をしていっているのに、同じように返してこない人がいる。私が一方的にお世話になっていることを暗にほのめかされているようで不愉快。「本当は私だってお世話になっているなんて、てーんで思っちゃいないわよ!」と、私が言った『いつもお世話になっております』のセリフを取り返したい気分。

ところで、メールでもとりあえず「いつもお世話になっております」と書くことがある。早く本文を書いてしまいたいからか、2回に1回はあせって「いつも押せワンになっております」と書いている。友達は、ユーザー辞書に入れて「い」と入力すれば自動的に「つもお世話になります」と出るようにしているという。なんて心のないやつ。いつか、ロマンスの神様よりも厳しいビジネスの神様から罰があたるはず。