迷信に踊らされる

最近、爪が伸びてきて邪魔。爪先のマニキュアが剥げて、期せずしてフレンチネイルになっている。しかし、家に帰ると夜になっているので爪は切れない。「夜に爪を切ると親の死に目に会えない」という迷信を私は固く信じている。同行者Sなどが、夜中にホイホイ爪を切っているのを横目で見ながら、「あーあ、アンタは親不孝者だね」と密かに思う。しかしその反面、「夜、口笛を吹くと蛇が来る」などは全然信じておらず、まだ信じている親戚の子供の前で口笛を吹いてみたりして脅かす、いやなやつ。しかし、実際私は口笛をうまく吹けないので、子供達が「うわ〜ん、蛇が来るよ〜」と認識しているかどうかは定かではないが。

だとしたら、いつ爪を切るか、これは切実な問題だ。以前、全員シーンとして仕事をしているときに、「チョッキン、チョッキン」という音が聞こえてきて、誰もが「まさかこの世で一番ヒマな人間が爪を切る音では。」と思っていたが、知るのが怖くて音の出る方を正視できなかった。しかし、いつまでたっても「チョッキン」という音は鳴り止まない。一体何本爪があるのか?それとも爪を切る音というのは全くの誤解で、何か業務に関した事をする音なのではないだろうか。そんな音ありえないけど。そのみんなの心中を察した男性社員が意を決して、音の出る方を見てみた。するとそこには、靴下を脱いで足の爪を切るヒマ人の姿が。一瞬色んな意味でクラッときたと、その男性社員は語る。

一度友達にこの「いつ爪を切るか問題」を打ち明けたところ、「爪やすりにしたら」というそっけない返事を貰った。え、それってアリなの?切るのとどう違うのよ。そもそも、なぜ爪を切る時間帯と親の臨終の時期とがリンクしているのかもわからない。しかし、今までこうやって頑張って切らないできたんだから、今更禁を破る気にもならなくて困る。誰か、「夜に爪を切った人が、親の死に目に会えた確率は30%」とか、そういう統計を取ってくれないだろうか。