1960年代のオフィスラブの背景とは

私の両親は、職場結婚、社内恋愛である。彼らの結婚記念日に、面白いので知り合ったきっかけを聞いてみると、もう乙女とはいえない娘に打ち明けるのは全然恥ずかしくないと判断したのか、えらい暴露話をいろいろ聞かせてもらった。

出会ったきっかけは、母の机の上に当時流行していた「なぜ女性は立ちあがらないのか」だったかな、そういう小難しい本が載っており、父がそれについて言及したのが始まりだったそう。この際、両親の恋愛話はどうでも良い。面白かったのは、昭和30年代の職場の話。

まず、母はテレックスの試験を受けたそうである。テレックスの資格をもっていれば、未来永劫職に困ることはないであろう、と誰もが勧めたそうなのだが、今現在2004年にテレックスの資格で就職できたという話は聞かない。勧めた者達の未来を見る目のなさには驚くばかりである。母はそれより、後年携帯メールの入力に役立った、というわけのわからない事を言っていた。

そして、長距離電話は申し込み制。朝、交換手に大阪への電話を申し込むと、早ければ昼には繋がったということだ。なんてまどろっこしい。その父は今、メールを送った直後に届いたか電話をかけてきて、自分の書いたメールを読み上げ返事を催促するという恐ろしいせっかち。ここはひとつ初心に返ってもらいたい。

また、昔のコピーは書類を機械のロールに通して読み取らせ、何分後かにゆっくりコピーを出してくるようなものだったという。そしてそのコピーは建築士事務所でよく見る「青焼き」という青い紙だったそうだ。昔はゼロックスしかなかったため、コピーのことを「ゼロックスする」と言ったそうだが、平成16年の今でも私の会社では普通に使われている。コピー機はリコーのものなのだが。「キャノンにゼロックスの見積もりもらって。」とか意味不明なことも言ってるな。

しかし、今の職場でも、将来絶対に笑い話になるようなものってある。例えば、ダイアルアップのインターネット。「接続する時はね、ピ〜ピロロロ〜ンガンガって言ったものよ。」とか自分の子供に教えてあげたい。ブラウン管のモニターって言うのも懐かしいな。液晶に変わる端境期の頃には、「あれはテレビですか。」って新入社員に聞かれたっけ。いいえ、あの一台しかないブラウン管のモニターは、この会社での一番下っ端、つまりあなたが使うのよ。