夕食ノープラン

日本全国の主婦の方は本当にすごい。一年365日、毎日食事を作り続け、しかも一度に2,3品は出しているわけで、そのメニュー数は軽く千を越えるはず。

私の場合、夕食はだいたい何にしようかギリギリまで考えない事が多く、スーパーに行って、その日の特売品などを見ながら、自分の能力で作成できそうなメニューを思い浮かべる。その時、例えばラム肉が大安売りだったとしても、自分の能力外にあるので無視。そうすればおのずと、メニューは限られてくる。

また、メインがだいたい固まったとしても、サブのメニューを考え付かないと、メインまで放棄して最初から構築し直すことになる。例えば、メインにシーフードカレーを考え付いても、サブにあたるサラダのお野菜が高いために手が出ず、大根の煮付けしか思いつけない時など。煮物に煮物をあわせるのは、ちとつらい。

たまに、スーパーを一周しても、自分の能力の範囲内で収まる食材にお手ごろなものがなく、店内をいつまでもぐるぐる回る時もある。レジの近くに来ても、かごの中にお菓子しか入っていない時の焦りようったらない。マリー・アントワネットのように、「パンがなければお菓子を食べればいいのに・・・ホホホ」というような、心境である。

先日、そのスーパーの中であまりのノープランぶりに途方に暮れていると、エスカレーターをすごい勢いで食品売り場に走り降りてくる人を発見。「アタシはね、もう献立は決まってんのよ。でも、次の電車が来る前に、材料だけは大急ぎで買ってしまわなきゃならないの!」みたいな勢いである。期待を込めて目で追うと、彼女は餃子売り場に直行。そこにおいてあった試食用の餃子を、備え付けの爪楊枝で4個ほど串刺しにして、一口でごっくん。さらに同じ爪楊枝で、隣においてあった試食用の小エビの空揚げを、同じく4個ほど串刺しにしてぱっくん。その後、またものすごい勢いでエスカレーターを登って去っていった。「次の電車が来る前に、餃子と小エビだけは試食してしまわなきゃ」ってことだったよう。

献立には、何の参考にもならなかったが、小エビの空揚げを買って帰った。メインの食材は迷った挙句にチャーハン。中華に決め手をくれて、何となく、ありがとうって気持ち。