すごくカッコいいと思う行為

前に務めていたのは東京の日本橋で、時々時間がある朝は茅場町から歩いて会社まで通うこともあった。よくお菓子や飲料の新製品が出ると、街中でキャンペーンガールが試供品を配っているが、日本橋だとだいたい一月に2回位彼女達に出会えたのに、茅場町では一度も出会わなかったという理由で、一月くらいでその行為は終わった。茅場町日本橋エリアといえば、東証の周りに銀行や証券会社が密集し、「日本のウォール街」といっても過言では・・・いや、でも、そういう感じではないんだけど。

証券会社の店頭にはだいたい、株値を表す機械が設置されている。リアルタイムに各社の株値が表示されるあの機械、日経新聞の子会社が情報提供しているのだが、その会社の上層部に親戚がいる。しかし、親戚になるまでそんな会社の存在すら知らず、「きっと証券会社の新入社員が、ボードの裏で手入力で入れているのだな。がんばれよ。」と思っていた。

茅場町あたりだけではなく、日本全国の証券会社の店頭であの機械は活躍中だ。たまにヨレヨレのコートを着た年配の男性が、深刻そうな顔をして株価を覗き込んだり、つっかけを履いたご婦人がうなずきながら見ていたりする。私の感触では、彼らはどんな格好をしていようがどこかの株主に違いなく、毎日株価を見ては「そろそろ○○工業の株は売りに出そうかしら」と考えているに違いない。「売ったお金でコートをお求めになったら?」と思うような格好をしていてもだ。

「株で一儲けする」とは言うが、実際は可処分所得を相当持っていなければ、株なんて買えないはず。私の株体験としては、「東レの眼鏡拭きは洗顔にも使える」という口コミを聞いて「今、東レ株買ったら大儲けかな。」と空想した時と、同行者Sが社員持ち株を売り払った時、ちょっとお相伴に預かった時位しか思いつかない。あと、東証の役員の出張を手配した時、「株価なんて下がっちまえ!」と毒づいた時位か。