携帯の声が大きい人は、テクノロジーの進化に気づいていない

お嬢様

私が今属している昭和な会社では、まだ国際競争の波にそれほどさらされていない業界だからか、至ってのんきに仕事をする人が多くいます。男女雇用均等法の存在も、去年くらいに気づいたみたいですが、いまだに女子社員はほとんどコネ入社と聞きます。なのでお嬢様が多く、ガツガツしていないのはいいのですが、仕事が遅いうえに不正確なことが多いです。ホラね、こう書くだけでまるで私が意地悪ばあさんみたい。従って、そんなお嬢様たちに、私のような外部から来た者がリアルに腹を立てて物申すと、まるでいじめているように見えるので、決して口出ししないように注意しています。お嬢様にも、おっとりしている人と、大上段な人とに二分されるので、後々の処理にも要注意です。


この間のことなのですが、上層部のおじさんが出張に行きました。このおじさん、海外勤務が長くて、この会社には珍しく男尊女卑ではない考えのお方。赴任中は、海外の全拠点の面倒を見ていたらしく、いまでも帰国した駐在員たちから絶大な信頼を得ているという人物。仕事もできて、温厚で、非の打ち所のない上司です。欠点があるとすれば、英語の電話の声が大きいことかしら。なぜか海外とやりとりするとき、普段の2倍の声量になるのです。それは自分の英語に自信があるからか、または一昔前の国際電話の音の悪さを思い出すからか、はっきりとはわからないのですが、たぶん後者。携帯の声も不必要にでかいもん


そんな彼の趣味はスキューバダイビング。それを聞くと9割の人が驚くというほど、ダイビングのイメージからほど遠いルックスなのですが、赴任中にCカードを取得し、毎週末はビーチに潜りに行っていたほど熱心なダイバー。今の仕事は、海外出張をそれほど必要としないのですが、何か理由をつけてはタイに出張したがります。タイなんて、現地法人がしっかりしているので、まったく行く必要もないのですが、アジアに出張があれば必ず、それがどんなに手前の中国であろうとも無理やりタイを絡めます。


この間の出張の行き先は、ベトナムだったのですが、気づいたらバンコク経由になっていました。それも金曜出発です。普通、日本人が海外出張にいく場合、月曜出発が一般的なのです。または日曜に出発して、月曜の朝からアポを取っておくとか。金曜出発なんて、訪問先も休みだし、週末やることないから、あり得ない話なのです。しかも、タイからベトナムに移動するのは、月曜の午前。週末まるまるタイでホリデー気分で過ごすためだけに行く意図が見えます。


それをわかっていながら、同じ課の女子社員はあえて金曜の夜、タイにいる上司に電話してみたら、携帯に出たはいいが、周りがざわついていて、相変わらず大声だったそうです。
しかし、時折「ゴボ、ゴボッ」という音が聞こえたそうで、
「あれは絶対、ダイビング中のレギュレータの音だった」
と言い張っていました。いや、それはないでしょ。