名前にまつわる2種類のコンプレックス

このあいだ、若者と話をしていて、名前の話になりました。若者は、若者なのに名前に「子」がつくのです。ふふふ、勝った。


私の名前には、私の年代には珍しく「子」がつきません。
って今でさえ何のこだわりもなく言えますが、幼稚園の頃、
「なんでわたしの名前には子がついてないんだろう・・・」
と毎日ブルーな気持ちでした。幼稚園の給食に、「甘く煮た豆」が出た時よりブルー。


そういや、今思い出したけど、幼稚園の時の英語の時間に、一人一つのアルファベットを割り振られて、そのアルファベットを使って絵を描いてみようという遊びがありました。私が割り振られたのは「G」。Aから一人ずつ発表していくのですが、私の番になったとき、英語の先生が、
「次はGです。おじいさんのG」
と言ったら、みんながゲラゲラ笑ったのです。自分が笑われたんじゃないとわかっているのですが、ものすごくブルーな気持ちになりました。今でもGはキライです。


幼稚園では、スモックの上にチューリップの形の名札を付けていて、名札には、先生の上手な字で、万年筆で名前が書いてありました。ある時、
「はっっ、この名前の後に「こ」を付ければいいんじゃん」
と思いつき、ある夜など、
「名前に『こ』が付いたんだね〜」
と、友達から祝福される夢まで見ました。


そして、機会を伺っていたある日、とうとう名札に自分で「こ」を書き足しました。しかし、やはり子供なので字が下手なのはともかくとして、何を思ったか油性のサインペンで「こ」と書き足したので、バランスは悪い上に、いかにも書き足した感があって、幼い心ながら、
「こ・・・これは大失敗・・・」
と、青くなりました。


名前にはほかにもコンプレックスがあって、小学校の頃は、名字がひらがなで3文字、名前がひらがなで2文字というのが、どうにも仲間はずれだなと、ずっと思っていました。だいたいみんな6文字か、7文字じゃないですか。そんな中、唯一「もり まり」という級友には優越感を感じたわ。


思春期になって、そんな名字ごときのコンプレックスじゃ済まない、深刻な悩みが浮上してきたら、もうどうでも良くなりましたけど。しかし、今でも名字だけで5文字もあるような人に会うと、一瞬尊敬してみたりします。