査証によるリトマス試験紙

東欧の、旧社会主義国では、ベルリンの壁崩壊後、ほとんどの国で査証が必要なくなってしまった。チェコも、ルーマニアも、ポーランドも、日本国籍であれば90日以内の滞在は無査証で入国できる。私が初めてヨーロッパに行った時は、まだ壁が存在していて、「西側から高架鉄道に乗って居眠りをしていたら、東側の駅に着いてしまった。」という旅行記を読んで、「なんて、おっ、おっそろしー!」と思った。もちろん査証がなければ駅の外には出られないんだけど、どんなドジをやらかして、うっかり向こう側に入るハメになるか、わかったもんじゃない。

最後まで査証が必要だったスロバキアも、とうとう無査証で入国できるようになった。ウィーン周辺のホテルが満室で取れないときなど、「ブラチスラバなんてどうでしょう?」って勧められるし。突っ込んで聞かれたら、
「ウィーンから車でたったの20分ですよ。えっと・・・隣国ですけど。」と無表情で答えることもできるというもの。

さーもうこれで、ヨーロッパならどこでも入国自由よ、ビバ!日本国籍
と思っていたら、先日モスクワに出張したいというお客さんが現れた。そうそう、忘れてたわ〜あそこは査証がいるのよね・・・。以前査証を取ったのなんて、数年前。どんな書類が必要で、取得までに何日かかったかなんかは忘却の彼方。このロシア査証と並んで面倒だったイランの査証も、ややこしい書類を用意させられたという記憶しか残っていない。
「以前、みかんさんがイランの業務査証取ったときは、どんな手続きをしましたか?」
と同僚に聞かれても、
「それはもうとにかく面倒な手続きをした」
としか答えようがないでしょう。

お客さんとしては、「ロシアにはいこうかな?どっしよっかな?」という段階らしいので、聞かれても困らないように、ビザハンドブックで予習。必要書類は・・・
申請書・招聘状・写真・非エイズ証明書。
エイズ証明書?そんなもの用意したっけな。用意したなら鮮明に覚えているはずなんだけど。よく読むとそれは三ヶ月以上の滞在の場合だった。あーよかった。そんなものの提出を、気軽に言えそうなお客さんじゃないんですよ。

この話を友達にしたら、
「じゃ、結婚相手には、ちょっとロシアに三ヶ月以上行ってもらうように頼めばいいのね?」
と、意外な反応が。