ストレート話法

 社内で、全く知らない部署の人にどうしても会って話さなければならない用事があったので、古株社員にその人の特徴を教えてもらった。
 古株が語るその人像は、「デブで眉毛が濃くて色シャツ」という、ものすごくわかりやすいものだった。
 私も「これでは間違えようがないだろう」とすっかり安心して、その部署まで行ったのだが、どうもそれらしき人が見当たらない。
 「もしかして最近激ヤセしたうえメンズエステに行って、色シャツはクリーニング中なのかもしれない」と思い、手近にいた女子社員に「○○さんいますか?」と聞くと、同じ苗字の人物が2人いるというではないか。
 「どういう特徴の方ですか?」という、女子社員の執拗な問いかけに、「デブ」を遠まわしにどう言ったら良いか迷い「ふ、ふくよかな・・・」と言いかけると、「ああ、デブの方ですね」と、直球で返されたのには恐れ入った。