自衛隊のお客さんの思い出

 知り合いから聞いた話だが、彼の会社では最近自衛隊の海外出張を請け負い始め、ウズベキスタンとか中央アフリカとか、微妙にややこしい地域の手配などをしているそうだ。
 私は、自衛隊の方達は、何となく航空母艦や軍用機で行くのかと思っていたが、民間機を利用しているらしい。
 ある日、アフリカのある地域に、自衛隊のグループが出張に出かける事になった。彼は、自衛隊の出張という慣れない仕事に緊張しつついろいろ調べた結果、乗り継ぎの良さからパリ経由でのフライトを予約したが、それでもパリでのトランジットが7時間ほどあったそうだ。
 出発が近くなったある日自衛隊から、「パリでのトランジット時、ホテルで休みたいので、予約して欲しい」という電話を受けた。彼は、自衛隊の方達の事だから一般客とは違い、空港で寝袋などを用いて休むのではないかという、漠然とした想像をしていたそうである。
 早速そんな先入観を反省しつつ、空港内のシェラトンを予約しようとしたが、あいにく満室。仕方なく空港から少し離れたホテルを予約し、その旨自衛隊に伝えると、「送迎バスは出ているのか」との質問を受けたそうである。
 彼は、自衛隊の方達の事だから空港から行軍をして行くのではないかという、漠然とした想像をしていたそうだ。